土の窓_182013年11月12日

土の窓_18


多くのことに 耐え抜いて

今 その窓は 悠然として 動かない

外に向かって 望みも為ず

内に向かって 欲も為ず

ただ そこにあるのみ

土の窓_172013年10月29日

土の窓_17


それは 過ぎゆくものの仕業じゃない

ひとの仕業だ

彼らは 無情で

とどまるものを 守る振りして

別の深みに 閉じ込めた

そこにあるのは 息苦しさだけ



 * * * * * * * *


土の窓 それは 私の妄想舞台です
遠い昔 たえず過ぎゆく我々の時間から
切り離された あるいは
閉じ籠もった ひと塊(クレ)の時間があって
それは 今も土の窓の向こうに ひっそりと居る
それとの唯一の接点が 土の窓で
そこを舞台に 繰り広げられる 
過ぎゆく時間と とどまる時間の 静かで長い攻防戦
それを 私は 妄想してます

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土の窓_162013年10月24日

土の窓_16


彼は いつも 窓の向こうで 横顔を見せていた

顔には 微かに電気スタンドの 光を受け

なにやら 本にでも 集中しているよう

私は ガリ勉め と思いながらも ヨッ! と声をかける

彼も 私を見て ニコッとしながら ヨッ!

でも

白いカーテンを掛けたとき 彼の時間は 止まった

あれから 随分と 時が流れ 私も 歳をとったが

たぶん カーテンの向こうには あの時の 彼がいる

ヨッ!! と 少し強めに 声を掛けてみた



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土の窓_152013年10月21日

土の窓_15


悪い連中に 遇ったな

あいつらは 遊びだ

本気で 引っ張り出そうとしたわけじゃない

靴下だけ残す みたいな 追い剥ぎゴッコをしただけさ

たちの悪い からかいだよ

だから 気にせず 静かに 眠れ


 * * * * * * * *


土の窓 それは 私の妄想舞台です
遠い昔 たえず過ぎゆく我々の時間から
切り離された あるいは
閉じ籠もった ひと塊(クレ)の時間があって
それは 今も土の窓の向こうに ひっそりと居る
それとの唯一の接点が 土の窓で
そこを舞台に 繰り広げられる 
過ぎゆく時間と とどまる時間の 静かで長い攻防戦
それを 私は 妄想してます

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土の窓_142013年10月16日

土の窓_14


その土の窓は 対岸にあって

五尋程の川を見下ろす

かつては その清涼な水が 窓を 守った

水たちは 窓ごときに目もくれず もっと大きな目的があった

流れゆくものたちも 清らかな水には 一目置いた

だけど 水が死んだ今 彼らは 容赦しない

激しく窓を叩き とどまるものを 呼び出そうとする

今 土の窓は 唯々 耐えている

土の窓_132013年10月06日

土の窓_13


流れ行くものに 土を見せてはいけない 

もし見せれば たちまちやつらは 壊しにかかる 

窓を壊すには 時間がかかる

だから 土を狙う 

さあ 土はすべて 覆い隠せ 

やつらに 土を見せてはいけない

土の窓_122013年09月29日

土の窓_12


わずかに開けた無双窓の隙間から

いくつもの目が 外を覗いてる

みんな 遠い過去に 閉じ籠もった連中だ

絶対に 外に出てこようとはしないくせに

ずっと長い間 ああして 外を覗いてる

流れ行くことを 拒否したくせに

流れ行くものを ああして ずっと 見つめてる



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土の窓_112013年09月14日

土の窓_11


止まった時間は

流れゆく時間を 優しげに 見守っている

取り残されることに 焦ることもなく

おいてけぼりの 恨みもない

流れ過ぎゆくものを 穏やかに眺めながら

ただ ひっそりと 横たわっている

こんな土の窓も あるんだナ…

土の窓_102013年09月06日

土の窓_10


閉じ込められた時間が

外に出ようとして 暴れたのか

閉じ篭ろうとする時間を

引っ張りだそうとして 壊しにかかったのか

どちらにせよ 中の時間は止まった

すべて この窓の力が 上回った 阻止したのだ




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土の窓_92013年04月11日

土の窓_9


土壁が風化して あるいは 崩れ落ちて

そこに 何もなくなっても

窓だけは 残っている

土の窓は そんな窓だと思う

時の流れに あらがい続ける 一つの空間…




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